※この記事は、以前僕が担当したお客様(仮名:Mさん)から直接ご相談を受けた体験談をもとに構成した手記です。
不動産営業をやっていると、水回りに関する「なんとなく落ち着かない」「違和感がある」というご相談をいただくことがあります。今回は、フルリフォーム済みで非常に綺麗だった格安物件に入居した、30代会社員Mさんの生々しい体験談をお話しします。
1. 相場7万円が「3万円」。水回りがすべて新品の綺麗なお部屋
Mさんが探していたのは、都心へのアクセスが良い好立地なエリア。相場だとワンルームでも7万円前後はする場所でした。
そこで見つけたのが「家賃3万円・共益費込」という破格の物件。築年数は経っていましたが、室内はフルリフォーム済みで、特にキッチンやお風呂、トイレなどの水回りはすべてピカピカの新品に交換されていました。
契約前に「告知事項(心理的瑕疵)」の説明を受け、「前の入居者様が室内でお亡くなりになり、リフォームを行いました」と言われたそうです。
Mさんは「水回りも部屋も新品だし、清掃も行き届いているならお得だな」と考え、特に不安を感じることなく契約を結びました。
2. 蛇口は締まっているのに…夜な夜な聞こえる「水滴の落ちる音」
新生活を始めてから数週間、お部屋自体は快適そのものでした。
しかし、夜寝静まった頃になると、浴室の方から『ポツン……ポツン……』と、水滴が床に落ちるような音が聞こえてくるようになったそうです。
最初は「蛇口の締め忘れかな」と思い確認しに行ったのですが、シャワーもカランも完全に閉まっており、水漏れしている様子もありません。
「配管の音かな」と最初は気にも留めていなかったMさんですが、その水滴の音が毎日決まった深夜の時間帯にだけ響くことに、徐々に不気味さを覚えるようになりました。
3. 脱衣所の異様な湿度と、内側から何かがつっかえる浴室ドア
異変は音だけではありませんでした。お風呂を使っていない時間帯でも、脱衣所周辺だけが常にじっとりと重い湿度に包まれている感覚があったそうです。
決定打となったのは、入居して1ヶ月が過ぎたある夜のこと。
夜中にトイレに起きたMさんは、浴室のドアが「数センチだけ隙間が開いている」ことに気づきました。
普段はしっかり閉めているはずなので、ドアを押して閉めようとしたのですが、まるで『内側から柔らかい何かがつっかえている』ような重みがあり、引っかかってすんなり閉まらないのです。
少し強めに押し込むと、『ヌッ』と重いものが動くような感触とともに扉が閉まりました。
何か目に見える怪奇現象が起きたわけではありません。しかし、「あの中で誰かが倒れ込んでいるような生々しい感触」が手元に残り、Mさんは背筋が凍りついたそうです。どうしてもそのまま部屋に居続けることができず、その夜はビジネスホテルへ避難しました。
4. 退去後に管理会社のスタッフから聞いた「告知事項の真相」
その後、どうしてもお風呂場に近づくことができなくなり、わずか1ヶ月半で解約を決意されたMさん。
退去の手続きの際、管理会社の担当者へ「水回り付近の湿度や扉のつっかえる感覚がどうしても気になって生活できなかった」とお伝えしたところ、気まずそうに真相を教えてくれました。
実は前居者の方は、病死などではなく、まさにその**浴室のドアに寄りかかるような姿勢で命を絶たれていた**とのことでした。
だからこそ、管理会社はお風呂場をまるごと最新設備に交換してリフォームしていたのです。
「亡くなられた」という説明自体は嘘ではなかったものの、具体的な発生場所や状況を知ったMさんは、「あのドアを押した時の感触はそういうことだったのか」と深く納得し、別のアパートへお引越しされました。
心理的瑕疵(事故物件)の募集では、リスクを隠すために**「その特定の場所(浴室や洗面所など)だけ不自然に最新設備へリノベーションされている」**というケースがよくあります。
もちろん綺麗になること自体は良いことですが、相場より極端に安い物件で「一部の設備だけがピカピカに新しくなっている」場合は、そこで何かが起きた痕跡である可能性があります。
告知事項のあるお部屋を検討する際は、**「どこがリフォームされていて、なぜそこを直したのか」**までしっかりと営業担当に確認することをおすすめします。
「この格安物件、もしかして事故物件…?」と不安な方へ
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上野 幸喜(うえの こうき)/ 住まらぼ
大阪で賃貸営業をやって10年目。お部屋探しのリアルな現場感や、お客様から聞いた実体験談をブログで発信しています。


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